CASE01
CHALLENGER
W大阪副総支配人横山 絵理子
マリオット・インターナショナルグループのラグジュアリーブランド「W」。
その日本初上陸ホテル「W大阪」の開業準備室からジョイン。
副総支配人として、セールスやマーケティングを中心に統括しながら、SDGsや多様性について、社内外への普及に努める。
SDGsを推進する5つのチーム
W大阪の開業時から、社員(タレント)の希望者たちとコミュニティを形成。健康、地球環境等5つのチームに分けて取り組みを始めました。当初は10名ほどのメンバーでしたが、現在では40名ほどに増えました。「チームに入りたい!」「業務が忙しくなっても月に1度のミーティングを継続していきたい!」と、社員として地球に生きる人として、誇りを持って主体的に取り組んでもらえています。立ち上げのきっかけを作ったのは私かもしれませんが、今となってはチームが自走してくれており、驚く成果を上げてくれています。現在はチームがより活動しやすい状況を作ることに注力しています。
127個の小さくも大きな取組み
WA(We act to make a better world)を合言葉にできることから始めることを大事にしており、去年は127個の取組みを実施することができました。
例えば、フードロスでは、ドーナツの穴部分の生地をドーナツボールに再形成してお客様がお出かけの際にお渡しすることで顧客満足にも繋がったり、鉄板焼で使用した牛肉の切れ端で出汁を取ったラーメンを開発したり。またコミュニティ形成では、子ども食堂に赴いて子どもたちを少しでも笑顔にできる取組みをするなど、とにかく身の回りのできることを実施しています。
社員(タレント)の変化
W大阪にはたくさんのレストランや飲食サービスがあるのですが、そのシェフたちも次第に「他のレストランに負けない取組みを!」と意気込んで、良い競争心理が働くようになりました。他にも、子ども食堂に1度行った後に「次回は休みの日だけど行って少しでも大阪の街に笑顔をつくりたい」と自主的にボランティア参加している社員もいました。このように、地球に生きる人として誇りを持つきっかけになり、それが楽しく仕事のモチベーションにもつながるのだと思います。どの事例においても、部署を超えたコミュニケーションが生まれ、相互協力が必要なホテルサービスの向上に繋がっていると感じます。
価値観を形成した今までの経験
タイに30年ほど住んでおり、多様性が存在する環境が当たり前にありました。100年後のことを考えれば持続するためにSDGsに取り組むのも当たり前で、長期的にビジネスをやっていくうえで、切り離せないものという考えが基礎にはありました。しかし、前職で企業上場の準備した際に、自社の取組みを数値化する必要があり、それまでそれほど意識していなかった数値の重要性を痛感しました。「指標化=難しい」と思うかもしれませんが、フードロスをなくすための商品の販売数、子ども食堂でご飯を振る舞った人数など社会課題も数値化できるのです。
日本で働くことのギャップ
SDGsが「当たり前」として実施されていない点にギャップは感じました。日本はすごく幸せな国で、地球の温暖化や社会課題も身近に感じないのかもしれません。タイでは、貧富の差が激しくスラム街があり、社会課題が目の前に多くあります。そのため、目の前にたくさんあるしないといけない事を実感し、危機感がある環境なのだと思います。
また、それぞれがSDGsを意識することが大事なのに、日本企業では人事部など一部の部署が主導する場合が多いことにギャップを感じました。開業時からこのプロジェクトを推進してきているので、喧々諤々の議論を交わしたこともありましたが、大変だと思ったことはないですし、少しずつ社内での理解を深めてもらえました。
一方で、見えてきた大阪の良さ
大阪・関西万博を始め、IRや国際会議等、様々なイベントが予定されている元気な大阪において、337室の客室数を誇るラグジュアリーホテルの仕事をできていることは非常に楽しいです。イベントに向けて競合他社の参入も見込まれますが、ラグジュアリーホテルの選択肢が多数ある都市として認知されることも嬉しいです。入社当時からシドニーでのLGBTQパレード(シドニー・ゲイ・アンド・レズビアン・マルディ・グラ)のようなイベントを、大阪の御堂筋で開催できればと思っています。明るくて情熱的な人が多い大阪は、自分の性格にもフィットしていると感じています。
最後に大阪元気サイトを見ている人へ
メッセージ
何をするにも自分が楽しむこと、ひとりでは何も動かせないのでみんなで力を合わせて取り組んでいくことを大事にしてください。楽しそうにしていれば、楽しそうだと思った人たちが協力してくれるようになってきます。日本は多様性(Diversity)も公平性(Equity)もありますが、Inclusion(協力して包括的に取り組むこと)が足りないように感じます。W大阪としては、SDGs目標の17番目「パートナーシップで目標を達成しよう」に注力していて、さまざまな事業社やパートナーを巻き込み、取り組みを「点」ではなく「面」で実施することを大事にしています。ぜひこれをご覧になって一緒に取組みをしていきたいという方がおられましたらお声がけください。